三国志〈第1巻〉 (文春文庫)
宮城谷 昌光

定価: ¥ 630
販売価格: ¥ 630
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おすすめ度:

発売日: 2008-10-10
発売元: 文藝春秋
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初めて三国志を読む人には辛いかも…
宮城谷さん自身がむしろ春秋戦国よりもっと前の人物に魅力を感じていたため、「三国志」は後回しにされてしまったが、今まで書かれた「長耳」や「楽毅」「子産」などのように人物を豊かに書きたいという思いが、この「三国志」のなかで果たされていると思う。ただ、論文になる嫌いがあって物語性が見えにくいのが難。小説、というより人物論文のようでもあるので、「三国志」をまったく読んだことのない人にはもうさっぱり訳が解からなくなると思われる。しかし、流れさえ知っていれば、登場人物の関わり合いに、なるほど、と頷けることしばし、「三国志」をより深く知りたいのであれば楽しめる。ちなみに物語は後漢から始まっているので1?2巻まで劉備や関羽、張飛の話が全くと言っていいほど出てこないので彼らのファンは覚悟した方が良い。曹操がやっと2巻の最後に出てくるので、1巻は先に忍耐がいると思う。
第一巻は後漢の物語。悪党のオンパレード。黄巾の乱はまだまだ先だが面白い。
宮城谷氏は代表作「重耳」でも祖父の代から書き始めているように、主人公の登場を必要とした前史を丁寧に解き明かす。しかし、曹操の祖父である宦官・曹騰に光を当てつつも、第一巻をまるまる後漢中期の外戚・宦官入り乱れての勢力争いに割いたのには驚く。三国志は普通黄巾の乱からスタートするものだが、簡単なエピソードの紹介も含めれば後漢初代皇帝・光武帝、いやその前の漢王朝簒奪者王莽にまで筆が及んでいる。もっとも、著者があとがきで述べているように、時代区分でいえば、赤壁の戦いも含めて曹操や関羽が生き、死んだのは後漢時代。まずはこの王朝の脆弱さ・腐敗ぶりとその中で清く生きようとした士の精神のあり方をとことん描こうとした意図は理解できる。それにしても、一時善政が行われた時期があるとはいえ、後漢時代は悪党のオンパレードとしか言いようがない。だが、壮絶な権力争いの過程はやはり面白い。私は宮城谷氏版「三国志」はまだ本巻を読んだだけなので、我々が良く知る三国志とどう結びつくのか不知だが、詳しく知らずにいた後漢王朝の物語として本巻を評価したい。本巻はまた、これまで資料が少なく呪術的要素が大きかった中国古代の話をたくましくい想像力で補って描いた著者が、資料が多くある意味縛りの多い紀元後の中国の、人間と人間の関わりが中心となる物語をどう描くか、大いに期待を抱かせる大河小説の幕開けだ。なお、悠長に長大な三国志を読んでいられないという方には、中国中央電子台製作のTVシリーズのDVDをお薦めする。
新たな三国志
充分に読み応えがある作品です。三国志というよりも中国王朝史として読みました。中国では新皇帝が誕生すると、その外戚が権力を握り、政権を我が物とする。それを不服とする側近がクーデターを起こし、政権を浄化させる。それでもやがて権力が偏ってくるので、新たな権力闘争が起こってくるという流れです。宦官の曹騰が偏らない視点で政権を見ているようですが、それでも宦官だという事で恨まれてしまう。この小説自体、主人公と呼べるものがありませんが、楊震、順帝、曹騰、を中心に描かれています。時代の流れが主人公です。
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